すっきりした甘さがおいしい蜜入りりんごは、見かけるとついつい手に取ってしまいますよね。
「蜜入り」りんごという名前から意外と勘違いされやすいのですが、人工的に蜜を入れているわけではありません。
光合成と熟成の過程による自然の産物、蜜入りりんご。
その正体と、おいしい蜜入りりんごの見分け方に迫ります。
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りんごの蜜はどうやってできるの?
りんごの蜜は、りんごの木がたっぷり光合成して甘味成分を作った結果、細胞に蓄えきれなくなり、余ってしまったものです。
まず、太陽の光を浴びたりんごの葉で光合成が行われ、でんぷんが作られます。
そのままだと実まで動かせないので、水に溶けやすい「ソルビトール」という甘味成分に変換され、果実まで流れていきます。
そうして、果実までたどり着いたソルビトールは、ブドウ糖や果糖、ショ糖などの糖分に変化。
ブドウ糖から、またでんぷんになって、実を大きくしていきます。
実が十分に成長したら、残ったでんぷんは再び糖に変わり、他の糖とも合わさって甘いりんごになっていきます。
こうして、どんどん甘味が蓄えられていきますが、細胞内に留めておける糖の量には限度があります。
一方、葉で作られたソルビトールは引き続き流れ込んでいきます。
完熟状態になりめいいっぱい糖を蓄えたりんごを収穫しないでおくと、もう細胞内には取り込めないよーという分が「蜜」という形で実に溜まっていく…。
これが、蜜入りりんごの正体です。
りんごの蜜自体は、実は甘さ控えめ
上の流れで書いたとおり、蜜入りりんごの蜜は、細胞内に入り込めなかったソルビトールです。
糖に変換される前のソルビトールは、砂糖の60%程の甘さで、キシリトールのように熱を吸収する作用を持つ甘味成分です。
お菓子の清涼剤としても使われるので、名前を聞いたことがある方も多いかもしれませんね。
このソルビトールが、蜜入りりんごの魅力であるさらっとした爽やかな甘さの秘密です。
蜜が入りやすいりんごと入りにくいりんごがある
一般的に日本で蜜入りりんごとして出回るのは、「ふじ」系のりんごがほとんどです。
特に、袋を掛けずに太陽の光をたくさん浴びた「サンふじ」は蜜入りりんごの代表選手。
他に蜜がはいるものは、スターキングやデリシャス系の赤いりんごに多いです。
あまり生産量は多くありませんが「こうとく」という種類の蜜入りはとても良く、蜜入りりんごファンの中でも人気、見かけたらぜひ試してみてください。
逆に蜜が入りにくいのが、ジョナゴールドや王林など。果肉が柔らかめのりんごだとあまり蜜として残らないようです。
蜜入りりんごを見分けるポイント
上で紹介した蜜の入りやすい品種の中でも、蜜がしっかり入っているものとそうでもないものがあります。
せっかくならたっぷり蜜の入ったりんごを食べたい…というわけで、「蜜が入っている可能性が高い」りんごの選び方をチェックしてみましょう。
まずは、りんごの色からチェックします。
りんごの皮がしっかりと赤く色づいているかを確認です。
次に、お尻が丸みを帯びているかどうかをチェックしましょう。
お尻がとがっているものは完熟していないサインで、甘みも少ないりんごです。
蜜入りりんごは完熟から更に過ぎたりんごですから、これは絶対NGですね。
さらに、お尻の色をチェックです。赤から淡いオレンジ色に染まっているのは、とても良いサイン。
透明感のある黄色からオレンジの場合も、蜜入りが期待できます。逆に緑色は完熟していないサインなのでNGです。
そして、これは蜜入りりんごに限らないのですが、お尻からりんごのいい香りがするもの。
発酵したようなにおいがするものは、熟し過ぎてあまり新鮮ではないかもしれません。
また、同じ大きさのりんごでも、持った時にずしっと重みがあるもの、上に付いているつたが太くしっかりしているものの方がおいしいです。
最終的には切ってみるまで分からないのですが、これだけ条件が揃っていれば、万が一蜜が入っていなくてもおいしいりんごに出会えるはず。
あとは、「蜜センサーで確認済み」を謳っているりんごを買うのも手ですね。
自然のものなので絶対に保証されるものではないですが、精度はとてもいいはずなので、高確率でおいしい蜜入りりんごを食べることができますよ。
蜜入りりんごは早めに食べる!
蜜入りりんごは、その成り立ちからも分かるように、「完熟を過ぎたりんご」です。
日持ちはしないので、新鮮なうちに召し上がってくださいね。
ちなみに蜜入りりんごを長く置いておくと、やがて蜜は吸収されてなくなってしまいます。
蜜が消えても甘味自体は変わりませんが、せっかくの蜜りんごなのに蜜がなくなってしまうなんて、なんだかもったいないですよね。
おわりに
さわやかでジューシーな甘さが魅力の蜜入りりんごは、果実が限界以上の甘味を蓄えた、完熟りんご。
完熟ゆえに普通のりんごよりも楽しめる期間は短いです。その蜜が消えてしまう前に、新鮮なものをおいしくいただいてくださいね。