貝殻のような見た目のパンに、たっぷりと詰め込まれたチョコレートクリームがおいしいチョココロネ。
ベーカリーでは定番のパンで、見かけることが多くお子様から大人まで好まれるパンのひとつです。
同じパンなのに、名前の表記がチョコ“コロネ”とチョコ“コルネ”と2つの呼び方があります。
どうして、名前に違いがあるのか、今回はこの理由に迫ります!
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どうして2つの呼び方があるの?
チョココロネもチョココルネも同じ製法で作られ、味としての大きな違いはベーカリーの好みによってだけのようです。
しかし、何故2つの呼び方があるでしょうか?
チョココロネ、チョココルネ、呼び方としてはどちらも間違いではなく正解です。
調べてみたところ、チョココルネよりもチョココロネのほうが名前の表記としては多く使用されています。
同じものなのにコロネとコルネの2つの呼び方があるのには、語源に秘密があったのです。
コロネとは
そもそもコロネとは角や角笛、ホルンという意味で、海外の各国では表記が微妙に異なります。コルネットという楽器も同じ語源です。
コロネの言い方の違い
イタリア語 | corno |
ラテン語 | cornu |
フランス語 | corne |
スペイン語 | cuerno |
どの表記も“コロネ”とも“コルネ”とも読むことができます。そのため同じものを意味しつつも、2種類の呼び方ができたというわけです。
製菓の世界ではコロネとは円錐の型、もしくはチョコレートで文字を書くときの円錐の入れ物を指します。
チョココロネの誕生と名前の移り変わり
チョココロネは意外にも日本で誕生したパンです。
初めて作られたのは明治時代とも言われていますが、世間に広く浸透したのは昭和に入ってからです。
パンが日本に伝わり、あんパン、ジャムパン、クリームパンが続々と登場しました。
明治時代になるとチョコレートが輸入されるようになり、チョコレートを加工したミルクチョコレートやココアが誕生しました。
こうしてチョコレートが量産できるようになると、大正時代から昭和時代にかけてハイカラなお菓子としてチョコレートが世間の人々に広まっていきました。
チョココロネは最初チョコレートスネールという名前で呼ばれていました。この“スネール”とは英語で巻貝を意味する言葉です。
次に“渦巻きパン(スネーク)”、“コルネット”と名前を変えていきました。チョココロネを作るときに使う円錐の型を“コルネ型”と呼び、コルネットの名前はここからきたのではないかと現在考えられています。
当時はコルネと呼ばれていましたが、コロネのほうが言いやすいため途中からまた変化していったと推測されています。
チョココロネのおいしさの秘密
チョココロネはクリームパンやチョコレートパンと違い、最初からパン生地にクリームを詰めて焼くのではなく、最初にコルネ型にパン生地を巻きつけて焼きます。
それから、チョコレートクリームをコルネ型がはまっていた空洞に詰めます。
焼いたパンに後からクリームを詰めることによって加熱する過程でクリームの水分が飛びません。
つまり、瑞々しく水分の多いクリームを味わうことができるのです。
また、わざわざ空洞を作りクリームを詰め込むという工程は海外には見られません。
これは餡を生地で包んで作る饅頭と似ています。チョココロネには日本の和菓子の技術が詰まっていたのです。
チョココロネのおすすめの食べ方
チョコレートクリームがたっぷり入っているため、尖っているほうから食べるとせっかくのクリームがパンからこぼれてしまいます。
かといってクリームのほうから食べると、最後尖っているところを食べるときにチョコレートクリームが残っておらず、パンの味しかしないといったことが起こります。
個人的なチョココロネのおすすめの食べ方は、尖っているほうをちぎって、チョコレートクリームをつけて食べ進める方法です。
最後までパンとチョコレートクリームのハーモニーを楽しむことができますよ!
アレンジで違うおいしさを楽しめる
チョココロネは家庭でも作ることができます。
そのため、さまざまなアレンジが可能です。
中に詰めるクリームを抹茶クリームやあんことホイップクリームに変えると、和を感じるテイストになります。
また、パン生地ではなくパイ生地でコロネを焼いて、好きなクリームを詰めるとバター香るざくざくっとした食感もまたおいしいです。
クリームは後から詰めるため、パイ生地でもすぐにしんなりすることがないためおすすめです。
お店でもコロネの中にソフトクリームを詰めたものも販売されています。
最後に
チョココロネもチョココルネも同じ意味の言葉が語源だということがお分かり頂けたでしょうか。
国によって言葉が微妙に異なることと、言いやすさの関係から2種類に変化していったことは面白いですね。
また、クリームパンと違って中に入っているクリームのおいしさにも違いがあることを知るとベーカリーのチョココロネが食べたくなりませんか?
パンもクリームもおいしく食べてもらいたいという日本人の心遣いがチョココロネを通じて見えました。